*子宮頸がん検診はいつから受ければよいですか? 子宮頸がん検診は、現在20歳から受けるようになっています。 近年、日本では20歳代、30歳代の若い女性の子宮頸がんや前がん病変(異形成といいます)が増加しており、若年で子宮頸がんにより亡くなる女性も増えてきたことが20歳からの子宮頸がん検診の開始となった理由です。 検診間隔は2004年の厚生労働省のガイドラインでは2年に1回とされ、市町村の検診事業に 組み込まれていますが、子宮頸がんの約20%は腺がんとよばれる発育の早いがんもあり、子宮頸がん好発年齢の若い女性は1年に1回の頸がん検診を受けることを勧めます。 |
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*子宮頸がん検診はどのような検診ですか? 当クリニックの子宮頸がん検診の手順は、まず問診をし、続いて婦人科診察(外診・内診)、
超音波検査をした後に、子宮の入り口(子宮頸部)から、ブラシを使って細胞を採取する細胞診を 行います。得られた細胞は、固定・染色して顕微鏡による観察から判定されます。そこで、子宮頸がん検診は、子宮頸がんができやすい部位から直接細胞を採取して顕微鏡で調べる検査法で、非常に精度の高いがん検診です。検査による痛みはほとんどありません。 |
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*子宮頸がん検診でポイントとなることはありますか? 子宮頸がん検診のポイントは、まず子宮頸がんが発生しやすい部位から確実に細胞を採取することです。そこで、自己採取での子宮頸がん検診では、この条件を満たさず精度は落ちます。 また採取器具の選択と採取した細胞の変性を防ぐことが重要で、当クリニックでは確実に細胞が取れるブラシによる採取と、採取した細胞は、全て液体容器内に保存する液状検体を導入しています。 従来、よく使用された綿棒による細胞採取は、十分な細胞数と細胞の種類が得られない欠点がありました。また、採取された細胞は、以前は直接スライドガラスに塗って観察していましたが、 塗る段階で十分な量の細胞がスライドガラスに付着してなかったり、塗る時間が長くかかると 細胞が変性して正確な判定ができない場合もありました。 当クリニックでは、これらのポイントを踏まえてブラシによる細胞採取と液状検体を使用することから、精度の高い子宮頸がん検診を実施しています。 |
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*子宮頸がん検診の結果報告の見方が知りたい。 子宮頸がん検診の結果報告は、以前は、旧日母分類(クラス分類)が使われていましたが、2013年度からベセスダ分類に変更されました。現在、混乱を避けるため2つの分類が併記された報告書になっていますが、将来はベセスダ分類に統一される予定です。陰性:NILMは異常なし、その他の判定は精密検査の対象になります。 以下に2つの分類の比較を示します。 MBL婦人科細胞診より引用 |
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*新しい子宮頸がん検診とはどんな検診ですか?
新しい子宮頸がん検診として、子宮頸がんの発生に深く関与する、ヒトパピローマウイルス (HPV)検査と細胞診を併用する検診が試みられています。 細胞診は、細胞の形の異常から判定しますが、HPV検査を加えることで、検出感度が増加します。その結果、前がん病変である異形成の検出率も高くなり検診での見逃しが減少します。 また、細胞診とHPV検査の結果がともに陰性の場合は検診間隔を延長することも可能とされています。ただ、対象年齢や検診間隔の設定、検診料など今後の課題もあり、現在検討中で一部の地域で試験的に実施されています。 |
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*子宮頸部異形成と診断され、今後の対応は? 一般に子宮頸部異形成は、すぐ治療を受ける緊急性はありません。 子宮頸がんの約80%は扁平上皮がんと呼ばれるがんで、がんになる前に「異形成」という状態を経て5〜10年の経過をたどって発生します。 異形成は程度により軽度・中等度・高度の3段階に分類され、軽度異形成の約60%〜75%は2年以内に消失することから3〜6か月間隔の定期検診で経過をみます。一方、高度異形成は約30%が2年間で上皮内がんに進む可能性があり、円錐切除術による治療も検討されます。その場合は婦人科腫瘍専門医と相談して方針を決めていきます。 |
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*子宮頸がんになった場合、妊娠は可能ですか?
近年、日本女性のライフスタイルの変化に伴い妊娠・出産を迎える20歳代、30歳代の世代が子宮頸がんの好発年齢となり、妊娠機能の温存を考慮した子宮頸がん治療を必要とする女性が増えています。 進行した子宮頸がんの治療は原則、子宮摘出、放射線、抗がん剤が選択され妊娠機能は失われます。しかし子宮頸がんの約8割は、発生する前に異形成と呼ばれる前がん状態があり、その一部が高度異形成、上皮内がんへと進行します。この段階では治療も子宮の入り口だけ部分切除する子宮頸部円錐切除術により妊娠機能は温存されます。ただし、円錐切除術後の妊娠には流産、早産のリスクも上がります。20歳になったら定期的な子宮頸がん検診を受け、早期発見に努めましょう。 |
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*子宮体がん検診はどんな時に受けたらよいでしょうか? 子宮体がん検診は子宮頸がん検診と異なり開始年齢の設定はなく、不正性器出血や何らかの月経異常があると検診の対象になります。子宮体がんの好発年齢が閉経前後の50歳代から 増加することから、子宮体がん検診は、閉経後の不正性器出血、褐色の帯下がある、月経不順を伴う不正性器出血、過多月経などの月経異常の症状がある、医師が必要と判断された場合は 受けてください。 方法はこのホームページの「診療内容―子宮がん検診」に掲載しています。 |
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*子宮鏡検査とはどんな検査ですか?
子宮鏡検査は、子宮腔内(子宮体部と呼ばれる場所)を観察する検査です。子宮鏡は硬性鏡、 軟性鏡(ファイバースコープ)などの種類があり、当クリニックでは直径約3mmのファイバースコープを使用しています。 検査する対象は、子宮不正出血、過多月経などの月経異常、不妊症、超音波検査で子宮腔内に異常所見が見つかった場合などに行います。 その結果、子宮内膜ポリープ、子宮粘膜下筋腫、子宮内腔癒着、子宮体がんなどが確認されます。 検査は外来ででき、受ける時期は月経終了から排卵日までの時期が適しています。 |
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*月経痛が強く困っています。 月経痛(月経困難症)の症状が強い場合、まず月経痛の原因が子宮・卵巣などの女性生殖器の異常によっておきる器質的月経困難症か、子宮・卵巣などは正常でもおきる、機能性月経困難症かを超音波検査(経腹、または経腟)や婦人科診察、血液検査などで確認します。器質的月経 困難症の代表は、子宮筋腫や子宮内膜症であり、症状に沿った薬物療法、ホルモン療法、手術療法などが選択されます。機能性月経困難症はとくに若い女性に多く、治療は鎮痛剤、ホルモン療法、漢方療法などがあり症状に応じて選択します。 |
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*月経不順で2,3か月間月経が飛んだり、半年以上ないこともあります。 月経周期と卵巣の働き(卵巣機能)は連動していて卵巣の働きが未熟な思春期、卵巣の働きが低下する更年期の女性は月経不順がよく発症します。一方10歳代後半から30歳代の性成熟期の女性の月経不順は治療の対象になります。月経不順を放置することで女性生殖器の発育が遅れ妊娠機能にも影響が出ますし、不正性器出血の原因にもなります。性成熟期の女性の場合、 まず卵巣の働きを確認し適切なホルモン療法、漢方療法で規則的な月経調節が必要です。 |
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*おりものが多く、においも気になります。 おりもの(帯下といいます)には、生理的な帯下(頸管粘液など透明な帯下)と病的な帯下が あります。病的帯下には黄白色、白色、米ぬか様、チーズ様、水様などの帯下があり、悪臭を伴う場合は感染症の可能性も高く、性感染症を含めた帯下の検査をします。治療は、各感染症に 感受性のある抗菌剤、抗生剤、抗真菌剤などで対応します。 性感染症の場合は、パートナーの治療も必要です。 |
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*性感染症が心配です。どんな検査がありますか?
性感染症は性行為を通じて感染する病気で、主な疾患に性器クラミジア感染症、淋菌感染症、梅毒、HIV感染があります。とくにクラミジア感染症や淋菌感染症は症状がなく経過して子宮内膜炎、卵管炎、付属器炎、骨盤内感染へと広がり、不妊症や子宮外妊娠の原因にもなります。
そして、性生活の変化から咽頭(のど)への感染も増えています。 また、性行為だけが原因ではありませんが、トリコモナス膣炎、カンジダ外陰膣炎、性器ヘルペス、外陰尖圭コンジローマ、B型およびC型肝炎も性感染症の対象となります。 検査は、疑われる性感染症により、感染部位からの直接検体を採取したり、血液検査で診断します。性感染症が心配な時は、早めに検査を受けて適切な治療を受けましょう。 |
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*不正性器出血があった時の対応は? 一般に月経以外の性器出血は異常であり、不正性器出血と呼びます。この中には、月経が いつもとは違うと感じるとき、例えば月経量が多い・少ない、持続期間の長い・短い、開始時期がいつもと異なるなども、不正性器出血としてとらえられる場合があります。 不正性器出血が起きる原因は妊娠に関連するものを除くとホルモン異常による機能性出血と、良性腫瘍、悪性腫瘍や炎症、外傷などによる局所の組織障害による器質性出血に大別されます。 単なる月経不順による不正性器出血と思っているなかに、子宮がんなどの悪性腫瘍が潜んでいる場合もあり、その時は婦人科診察を必ず受けるようにしてください。 |
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*子宮筋腫とは? 子宮筋腫は子宮にできる良性腫瘍で、女性の20〜30%に見つかります。筋腫のできる部位により過多月経、不正出血、過長月経などの月経異常、貧血、月経困難症、腹部膨満、頻尿などの圧迫症状や不妊の原因にもなります。診断は婦人科診察、超音波検査で行い、MRIなどの画像 検査も有用です。 治療は年齢、症状、筋腫の大きさ、妊娠希望の有無などで選択され、基本的には手術ですが、保存療法、貧血、痛みへの対症療法や、最近は過多月経への子宮内膜焼灼、保険適応はありませんが収束超音波療法、子宮動脈塞栓術もあります。子宮筋腫が見つかった場合は医師と相談して適切な治療を選択しましょう。 |
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*子宮内膜症とは? 月経困難症の原因の一つに、子宮内膜症があります。子宮内膜症は、月経時に出血を起こす 子宮内膜組織が内膜以外の場所である子宮筋層(子宮腺筋症といいます)や腹膜、卵巣(一般にチョコレート襄腫と呼ばれています)などに入り込む病気で、最近若い女性に増えています。 症状は月経時の下腹痛、腰痛などの月経困難症の症状があり、しかも年ごとに痛みが増強します。 また、月経量が増加したり、腹腔内に癒着病変をつくり不妊の原因となることもあります。 診断は、診察、超音波、CT/MRI、腫瘍マーカー(CA125)などの補助診断と腹腔鏡検査で 直接観察する場合があります。治療は、主に手術とホルモン療法があり、手術は、卵巣にできたのう腫(チョコレートのう腫)の摘出、不妊原因の癒着剥離などが目的で、ホルモン療法は、月経困難症の改善が主な目的で現在は保険収載されたくすりがあり痛みは軽減〜消失します。 最近、チョコレート襄腫の一部が悪性化(がん化)することもわかり、適格な診療が必要です。 |
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*卵巣腫瘍について。 卵巣は、体の中で最も多くの種類の腫瘍が発生する臓器です。腫瘍は、形態から卵巣嚢腫 (中身が液体)と充実性腫瘍(堅い部分がある)に、病態から良性、悪性と境界悪性に分類され ます。症状は、初期は無症状で腫瘍が大きくなった時点から腹部の違和感、痛み、膨満感などが出現します。診断は婦人科診察、超音波検査でなされ、悪性との鑑別にMRI,CT、腫瘍マーカー 検査などがあります。治療は原則手術による腫瘍の摘出で、悪性や境界悪性の場合、術後の 化学療法が選択されます。卵巣は体の中にあり腫瘍が発生しても早期発見が難しいことから、 婦人科診察時には、特に経腟超音波検査による卵巣の診察を勧めます。 |
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*子供が欲しい。 不妊の原因を調べることから始めます。男性因子、女性因子のそれぞれの検査が必要です。 男性因子は精液検査、女性因子は、卵巣機能、卵管通過性、子宮形態の異常の有無などを 調べます。諸検査で、大きな異常があれば生殖医療専門機関での治療を紹介します。大きな 異常がない場合は、原則、基礎体温測定に伴うタイミング法での治療となります。 最近、卵子の老化が指摘され、40歳を超えた妊娠率は、低いことが報告されています。挙児 希望があれば早めの基礎体温測定と治療を勧めます。 |
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*更年期の対応は? 更年期は女性ホルモンのエストロゲンの産生が減り、その欠落症状から顔のほてり、のぼせ、異常な発汗、動悸、手足の冷えなどの自律神経障害や、いらいら、抑うつ、不安、不眠、めまい などの精神神経症状が発症することがあります。個人差はありますが、すべての女性は更年期を迎えますので決して特殊な状態ではありません。しかし、なかには更年期障害と呼ばれて欠落 症状が強く出て治療が必要な場合があります。 検査は一般婦人科診察と卵巣機能(ホルモン測定)、貧血、肝腎機能、脂質代謝などの血液 検査を行い他疾患がないことを確認します。治療は減少した女性ホルモンを補充するホルモン 補充療法や漢方、向精神薬やカウンセリングなどが選択されます。 |
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